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帰化申請の7つの条件とは?審査でつまずくポイントを行政書士が解説
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「日本国籍を取りたいけれど、自分は帰化の条件を満たしているのだろうか」——帰化申請を考え始めた方の多くが、まずこの不安に突き当たります。住んでいる年数は足りているのか、税金や公的年金・健康保険はきちんと払えているのか、交通違反があっても大丈夫なのか。条件が細かく、しかも情報が古かったり不正確だったりすると、判断がつかないのも無理はありません。
帰化は、要件を満たしたうえで、法務大臣が裁量で「許可」するかどうかを総合的に判断する制度です。ひとつの条件だけを見て合否が決まるものではなく、生活状況全体から「日本国民としてふさわしいか」が判断されます。だからこそ、まずは自分が7つの条件それぞれをどの程度クリアできているかを整理することが、帰化申請の7つの条件を理解する第一歩になります。
この記事では、普通帰化の7つの条件を国籍法第5条の条文に沿ってわかりやすく解説したうえで、2026年4月1日から始まった運用見直しについても触れています。交通違反や年収の目安、簡易帰化で条件が緩和されるケースまで具体的にお伝えしますので、「自分は条件を満たせるか」を判断する材料としてお役立てください。
帰化の「7つの条件」とは?
普通帰化の条件は、国籍法第5条に定められた6つの条件に、日本社会への融和の一要素として求められる日本語能力を加えた7つとして整理すると理解しやすくなります。当事務所では、次の①〜⑦を「帰化の7つの条件」としてご案内しています。
① 住所条件……引き続き5年以上、日本に住所を有していること(国籍法5条1項1号)
② 能力条件……18歳以上で、本国の法律でも行為能力(成人)を有すること(同2号)
③ 素行条件……素行が善良であること。税金・年金の納付や交通違反歴などが見られます(同3号)
④ 生計条件……自分または生計を同じくする家族の資産・技能で、安定した生活を営めること(同4号)
⑤ 喪失条件(重国籍防止)……帰化によって、原則それまでの国籍を失うこと(同5号)
⑥ 思想条件……日本国憲法や政府を暴力で破壊する思想・団体に関わっていないこと(同6号)
⑦ 日本語能力……日本社会への融和の一要素として求められる日本語の能力
①〜⑥が国籍法5条1項に明記された法定要件です。⑦の日本語能力は、後述する「日本社会への融和」の一要素として審査で求められる要件です。それぞれの中身を、実務でつまずきやすいポイントとあわせて順に見ていきましょう。
【2026年4月〜】運用見直しで何が変わった?
2026年4月1日から、帰化審査の運用が大きく見直されました。ニュースやSNSでは「帰化の居住条件が5年から10年に変わった」といった説明が広がっていますが、これは半分正しく、半分不正確です。国籍法の条文上の住所条件は今も「引き続き5年以上」ですが、2026年4月以降の実際の審査では、原則として10年以上の在留を基準に判断されるようになりました。つまり、法律の条文は変わっていないものの、審査の実務ではすでに「10年」で見られている、というのが実情です。
※国籍法(5条1項1号)の条文上は「引き続き5年以上」ですが、2026年4月以降の審査では、原則として10年以上の在留で判断されます。しかもこの新しい運用は遡及して適用されており、2026年4月より前に申請した方についても、同じ基準で審査されます。条文の数字と実際の審査基準が異なる点にご注意ください。
審査ではすでに「10年以上の在留」で判断される
法務局の案内では、帰化の要件について「引き続き5年以上日本に住所を有すること」に加えて、「日常生活に支障のない程度の日本語能力(会話及び読み書き)を有することや、10年以上在留していることなど、日本社会に融和していることが必要です」とされています。ここからわかるとおり、10年以上の在留は「日本社会への融和」を判断するための重要な要素の一つと位置づけられています。国籍法の条文は5年のままでも、実際の審査では、この融和(その一要素として原則10年以上の在留)が満たされているかどうかで判断される、というのが現在の運用です。
税金や公的年金・健康保険の確認が厳格化
2026年4月の運用見直しでは、税金や公的年金・健康保険の加入・納付状況の確認範囲も広がりました。住民税については課税証明書・納税証明書が直近5年分、公的年金・健康保険などの保険料については納付を示す証明が直近2年分、必要とされる運用になっています。しかも、単に納付済みであればよいのではなく、期限どおり「遅滞なく」納付してきたかどうかも確認されるようになりました。過去に納付の遅れや未納がある場合は、確認される年数分についてすべて遅滞なく納めた状態で申請したほうがよいでしょう。なお、この確認範囲の拡大も、2026年4月の運用見直しより前に申請している方に遡及して適用されます。
①住所条件
「引き続き五年以上日本に住所を有すること」(国籍法5条1項1号)
住所条件は、適法な中長期在留資格をもって、引き続き日本に住んでいることを求めるものです。条文上は「5年以上」ですが、前述のとおり2026年4月以降の審査では、原則として10年以上の在留が基準になっています。ポイントは「引き続き」という言葉の意味です。たとえば日本に3年住んだあと、海外赴任などで1年間日本を離れ、帰国して2年住んだ場合、在留の連続性がいったん途切れるため、通算の年数があってもリセットされ、条件を満たさないことになります。
長期・頻繁な出国には注意が必要です。1回の出国が3か月以上に及ぶ場合や、1年間の出国日数が合計100日以上になる場合は、在留の連続性が中断し、それまでの期間がゼロカウントになる扱いとされています。海外出張や帰省などで長期・頻繁に日本を離れる方は、出国日数の管理が重要です。
また、この10年以上の在留のうち、直近3年以上は就労可能な在留資格で就労していることが必要です。留学中のアルバイトなど、資格外活動としての就労は、この就労期間には含まれません。就労可能な在留資格で安定して働いてきた期間があるかどうかが、住所条件を判断するうえで重要になります。
あわせて、申請の時点で現在有している在留資格の在留期間が3年以上であることも必要です。在留期間が「1年」の在留資格をお持ちの方は、「3年」以上に更新されてから申請することになります。なお、永住許可申請の条件が厳格化されている流れをふまえると、この在留期間の条件は近い将来「5年以上」の在留期間を求められるようになると考えられます。
②能力条件
「十八歳以上で本国法によって行為能力を有すること」(国籍法5条1項2号)
能力条件は、日本の法律で18歳以上であり、かつ本国の法律でも成人(行為能力者)であることを求めるものです。日本では2022年4月1日の民法改正で成人年齢が20歳から18歳に引き下げられたため、現在の基準は「18歳以上」です。以前の「20歳以上」という説明は古い情報ですので、ご注意ください。
ただし、両親と同時に申請する未成年のお子さんや、後述の簡易帰化に該当する方は、この能力条件が緩和・免除される場合があります。家族全員での帰化を検討している場合は、お子さんの年齢にかかわらず一緒に申請できるケースが多くあります。
③素行条件
「素行が善良であること」(国籍法5条1項3号)
素行条件は、税金の納付、年金・社会保険の加入、交通違反や前科の有無など、日常生活を通じて「善良な市民として生活しているか」を見る条件です。帰化審査で最もつまずきやすいのがこの素行条件のため、3つの観点に分けて具体的に解説します。
「税金」について
会社員の方は、給与から住民税が天引き(特別徴収)されていれば問題ありませんが、天引きされていない(普通徴収の)場合は、自分で納付する必要があります。2026年4月の運用見直し以降は、単に完納していればよいのではなく、期限どおり「遅滞なく」納付してきたかどうかも重視されます。過去に未納や納付の遅れがあると、あとから完納しても審査で不利に扱われるため、日頃からの納付が大切です。対象は住民税だけでなく、所得税をはじめとする各種税金に及びます。共働きなど、生計を同じくする同居のご家族についても、同様に納税状況が確認されます。経営者や個人事業主の方は、法人税・個人事業税なども確認対象です。
「公的年金・健康保険」について
会社員として厚生年金・健康保険に加入していれば問題ありません。厚生年金・健康保険に加入していない方は、国民年金・国民健康保険を遅滞なく納付している必要があります。日頃からの納付状況が見られるため、未納や納付の遅れがあると不利になります。経営者の方は、会社自体が社会保険に加入し、遅滞なく納付しているかも確認されます。これらについては、生計を同じくする同居のご家族の状況も確認されます。
「交通違反」について
軽微な交通違反(速度超過・一時停止違反・駐車違反など)は、過去5年間で5回以上、または過去2年間で3回以上あると、不許可のリスクが高くなるとされています。また、直近1年以内に交通違反歴がある方は、一定期間をおいてから申請したほうが安全です。飲酒運転やひき逃げなどの重大な違反は、1回でも相当な期間が経過するまで申請を控えるべきです。なお、これらの回数は明文化された基準ではなく、あくまで実務上の目安です。
④生計条件
「自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること」(国籍法5条1項4号)
生計条件は、安定して生活できる収入があるかを見る条件で、申請者本人だけでなく、生計を同じくする世帯全体の収入で判断されます。目安としては、単身の方で年収300万円以上、生計を同じくするご家族が一人増えるごとに年収70万円程度を上乗せして考えておくとよいでしょう。たとえば配偶者と子ども1人を養う世帯であれば、年収440万円前後が一つの目安になります。また、収入と支出のバランスがとれているかどうかが特に重要視されます。
現在失業中の方でも、再就職して収入が安定してから申請すれば問題ありません。住宅ローンやマイカーローンがあっても、滞りなく返済できていれば不利にはなりません。過去に自己破産をした方についても、申請自体はできますが、免責による復権からおおむね7年程度が経過してから申請を検討するのが望ましいでしょう。なお、生計条件では、一時的な資産よりも、継続して得られる安定した収入があるかどうかが重視されます。
⑤喪失条件(重国籍防止)
「国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によってその国籍を失うべきこと」(国籍法5条1項5号)
日本では原則として二重国籍が禁止されているため、帰化によって、それまで持っていた国籍を失うことが条件となります。多くの方は、日本国籍の取得にともなって自国の国籍を離脱する手続きを行うことになります。
もっとも、本人の意思では国籍を離脱できない国の出身者などについては、国籍法5条2項により例外が認められる場合があります。国によって、「他国籍を取得して初めて自国籍を失える国」「未成年のうちは国籍離脱ができない国」「難民として母国と連絡が取れない場合」「兵役制度があり離脱に条件が付く国」など事情はさまざまです。喪失手続きの進め方は出身国によって大きく異なるため、個別の確認が欠かせません。
⑥思想条件
「日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと」(国籍法5条1項6号)
思想条件は、日本国憲法や政府を暴力で破壊しようとする思想を持ったり、そうした団体に加わったりしていないことを求めるものです。いわゆる反社会的・破壊的な団体への関与を問うもので、一般的な生活を送っている方であれば、通常この条件が問題になることはありません。過度に心配する必要はない条件です。
⑦日本語能力
7つ目は、日本語能力です。2026年4月の運用見直しにより「日本社会への融和」が要件として明示され、その一要素として日本語能力が求められるようになりました。近年は日本語能力の審査が厳しくなっており、日常会話ができる程度では不十分と判断されることもあります。目安としては、日本語能力試験(JLPT)のN2程度(幅広い場面で使われる日本語をある程度理解できるレベル)があると安心です。
審査の過程では、法務局での面接の際に、簡単な日本語の読み書きテストが行われることがあります。この日本語能力の審査は年々厳しくなっている点に注意が必要です。日本での生活年数が長い方でも、普段の日本語がパソコンやスマートフォンでの入力に偏っていて、自分で文字を書く機会が少ない場合は、事前に読み書きの練習をしておくと安心です。
簡易帰化で条件が緩和されるケース
日本人と一定の身分関係がある方などは、「簡易帰化」として住所・能力・生計の各条件が緩和・免除されます(国籍法6条〜8条)。代表的な類型は次のとおりです。
① 元日本人の子で、引き続き3年以上日本に住所または居所を有する方(6条)
② 日本で生まれ、引き続き3年以上日本に住所または居所を有する方、または引き続き10年以上日本に居所を有する方(6条)
③ 日本国民の配偶者で、引き続き3年以上日本に住所または居所を有し、現に日本に住所を有する方(7条)
④ 日本国民の配偶者で、婚姻の日から3年を経過し、引き続き1年以上日本に住所を有する方(7条)
⑤ 日本国民の実子で、日本に住所を有する方(8条)
⑥ 日本国民の養子で、引き続き1年以上日本に住所を有し、縁組の時に本国法上未成年であった方(8条)
⑦ 日本の国籍を失った元日本人で、日本に住所を有する方(8条)
⑧ 日本で生まれ、出生時から国籍を持たず、引き続き3年以上日本に住所を有する方(8条)
免除される条件の範囲は類型ごとに異なります。住所条件は①〜⑧のすべてで緩和され、能力条件は③〜⑧(7条・8条該当者)で免除、生計条件は⑤〜⑧(8条該当者)で免除されます。ご自身がどの類型に当てはまるかによって、必要な在留年数や書類が変わってきます。
7つの条件を満たせるか不安なときのチェックポイント
申請前に、次のポイントをセルフチェックしてみてください。
- 適法な在留資格で、引き続き原則10年以上、日本に住んでいる(10年以上の在留は「日本社会への融和」の一要素)
- そのうち直近3年以上は、就労可能な在留資格で就労している
- 18歳以上で、本国の法律でも成人である
- 住民税をはじめ各種税金を、本人も同居家族も遅滞なく納めている(過去に未納・遅滞がない)
- 公的年金・健康保険を遅滞なく納付している
- 過去5年で5回以上、または過去2年で3回以上の交通違反がなく、直近1年も違反歴がない。重大違反もない
- 世帯収入で安定した生計がある(単身で年収300万円程度以上が一つの目安)
- 会話に加えて読み書きもでき、目安として日本語能力試験N2程度の日本語力がある
すべてに自信を持って「はい」と言えなくても、あきらめる必要はありません。書類の準備や在留状況の整理などで解消できるケースもあります。一つでも不安がある場合は、申請前に専門家へ相談することをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Q. 2026年4月から住所条件は5年から10年に変わったのですか?
A. 国籍法の条文は「引き続き5年以上」のままで、改正されていません。ただし、2026年4月以降の実際の審査では、原則として10年以上の在留を基準に判断されています。この10年以上の在留は、「日本社会への融和」を判断するための要素の一つとして求められるものです。しかもこの新しい運用は、2026年4月より前に申請した方にも遡って適用されます。条文の数字(5年)と実際の審査基準(原則10年)が異なる、と理解しておくとよいでしょう。
Q. 収入のない専業主婦(主夫)でも帰化できますか?
A. 生計条件は世帯単位で判断されます。ご自身に収入がなくても、配偶者など生計を同じくする家族の収入で世帯として安定した生活が成り立っていれば、生計条件の面で問題はありません。
Q. 帰化申請は、申請してから許可までどのくらいかかりますか?
A. 事案や管轄の法務局によって異なりますが、書類の準備を始めてから許可が下りるまでは、おおむね1年半から2年程度が一つの目安です。内訳としては、書類の収集・作成に数か月、申請が法務局に受理されてから許可が下りるまで1年から1年半ほどが目安です。必要書類は出身国によっても変わるため、早めに準備を進めておくと安心です。
まとめ
帰化の7つの条件は、①住所②能力③素行④生計⑤喪失⑥思想⑦日本語能力です。2026年4月の運用見直しで特に押さえておきたいのは、国籍法の条文上は「5年」のままでも、実際の審査では原則10年以上の在留が求められるようになった点です(この10年以上の在留は、日本社会への融和を判断する要素の一つです)。あわせて、住民税は直近5年分、公的年金・健康保険は直近2年分の納付状況が確認され、しかも「遅滞なく」納めてきたかが重視されるようになりました。素行条件(税金・公的年金・健康保険・交通違反)や生計条件でつまずくケースが多いため、申請前に自分の状況を一つずつ整理することが大切です。
帰化申請を専門家のサポートを受けて進めたいとお考えの方は、まず無料相談でご自身の状況を確認してみてください。当事務所は東京・神奈川・千葉を中心に、Zoomでのオンライン相談にも対応しています。
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